好きな映画「ミッドナイト・ラン」
- Noema Noesis
- 2020年8月31日
- 読了時間: 3分

「映画を観に行こうよ!」「仕事帰りにDVDでも借りるか」――映画を観る動機は様々です。刺激的なあの新作を観よう、青春の甘酸っぱい思い出に触れよう、怖いモノ見たさにひやひやしようなどなど。その期待に胸膨らませながら画面越しに旅をする。そして、特に心を動かされた作品がその人にとっての「名作」となるのでしょう。
と、ここまで読んだところで、この度紹介をする「名作」はたいそうな「名作」だと思いませんか?だって「画面越しに旅をする」とか言っちゃってますし…。
お仕事を頑張った金曜日の夜、「あぁ今週は頑張ったなぁ、よーし今夜は夜更かししちゃうぞ」そう思い立って、コンビニでお酒やおつまみ(スナック菓子もいいでしょう)を買い込んで、「最もヒモのゆるい部屋着」を着て観る映画。それが名作「ミッドナイト・ラン」です。

タイトルの意味は「一晩で終わる簡単な仕事」、また「ちょろい仕事」ともとれるでしょう。ロバート・デニーロが自ら出演した映画のうち「一番好きな映画」と言った映画なんです。Wikipediaから簡単なあらすじを引っ張ってきました。
「世間に裏切られた過去から独善的な態度しかとれなくなった賞金稼ぎ(ロバート・デ・ニーロ)と、運悪く賞金首になってしまった心優しい会計士(チャールズ・グローディン)という対照的な中年男2人が、喧嘩をしながら心を通わせていくロードムービー。」(引用元)
二人の中年男が、マフィアや、FBIから逃げながらアメリカ横断をするという割と無茶苦茶な話。しかもその渦中はずっとケンカをしています。でも、だんだんお互いの背景が明らかになるに従って、少しずつ打ち解けていくのです。そして、最後の爽やかなシーンは、たぶんどんな青春映画でさえ敵いっこありません。
最後のシーンって大事ですよね。音楽でも小説でも、食べ物でも。「最後はこれがこうでこうなった」と、(親切なようですが)「しっかりした説明」を描いてしまったばっかりに想像力を奪い、つまらないものになってしまうこともしばしば。想像する余白も残しつつ、その想像もまた楽しいものになる素敵な余白、そしてひとっ風呂浴びたようなすっきりとした最後のシーンは必見です。
そこまで力説しておきながらも、先に書いた鑑賞にあたっての姿勢(服装やお酒他)でいいのかと疑問をもたれるかもしれません。例えば、最後に大どんでん返しがあるなら、それにかかる伏線を見つけるために画面に穴が開くくらい見つめるでしょうし、感動するなら鼻をかむためのティッシュを近くに置いておくべきでしょう。
「ミッドナイト・ラン」は作品の監督と主演のロバート・デニーロが飲みながら「こんな映画あったらおもしろいよね」と話が盛り上がったところから始まっているそうです。もともと売りさばく気満々ではないので(失礼)、とにかくゆるいんです。アドリブも多いし、途中登場するヘリコプターも全然ラジコンだし、正直、中盤はダラダラとした展開が続きます。でも、それが、そこが良いんです。ぼーっと飲み食いしながら、「えへっ」とか「アハっ」とか普段人前で発せないような声を出しながら、観るのです。

(あと、コーヒーやら煙草をすうシーンやらがやたらとうまそう。煙草吸わないけど。)
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。興味は湧きましたか?ぶっちゃけると、是非観て欲しい!絶対観て欲しい!何がなんでも観て欲しい!とは思ってません。だって、「一緒にぼーっとしましょう」と言ってるようなものですから。
さあ、ぼーっとしましょう。
文:小川(パイセン)
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