MITSOU バルテュスによる四十枚の絵
- Noema Noesis
- 2020年6月30日
- 読了時間: 2分
自由研究で本について書こうと思ったものの、遅筆に駄筆なもののため、書き出すのが遅くなってしまいました。いくつかある本の中で、一冊紹介したいと思います。「ミツ バルテュスによる四十枚の絵」という、本というよりは画集に近い書籍です。
この本はフランスの画家バルデュスが少年時代に描いたデッサンと、オーストリアの詩人ライナー・マリア・リルケが序文を寄せた画集で、数年前に東京都立美術館で「バルテュス展」が開催されたときに、購入したものをたまに読んでいます。この画集に共通して登場するのが【猫】であり、バルデュスが幼少期に飼っていた猫が登場します。

私は好きな動物の一つが猫です。最近はNHKの世界ネコ歩きも毎週録画するほどになってしまうくらいに猫が好きになりました。また大学で研究題材にした詩人がリルケということもあり、この本を見てすぐに購入した記憶があります。
この本のタイトルでもある猫の名前「ミツ」は日本語の「光(ミツ)」から来ており、バルテュスの東洋の憧れからつけた名前とも言われています。バルテュスとリルケの繋がりは数年間という短い期間でもありましたが、リルケはバルデュスの母バラディーヌ・クロソフスカ婦人と第一次世界大戦前のパリで知り合っており、リルケが大戦後にスイスに移り住んだ後も、互いに交流が続いていました。この本の序文は次の文章から始まります。
『誰が猫たちを識っているだろう?-たとえば、あなたが彼らを識っているつもりだなどと、そんなことがあり得ようか?この私はといえば、彼らの存在そのものが私にとっては、いつだって、かなりの程度に大胆な仮説でしかなかったと、白状する。』
数行に渡って、猫と人間の関係性について語ったリルケの文章は、真理を捉えていて、リルケの的確な指摘は何度読み返しても納得させられるところがあります。バルテュスによるデッサンを通じて、一人の少年と猫の関係性と、人と猫の異なる世界観の違いが、四十枚の絵を通じて語りかけてくれます。昨今は先の見えない情勢が続きますが、歴史上でも様々な人達が愛し題材としてきた猫たちの世界を、こういった書物で味わってみるのも良いかもしれません。
文:松浦(メープル、マスオさん)
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